Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
「オイ、父つぁんに云うてこ」
その内に、一人の子供が息をはずませて囁きました。すると、外の子供達も、
「そうしよ、そうしよ」
とつぶやいて、バタバタとどこかへ駈け出して了いました。彼等は銘々の親達に、不思議な行倒れ人のことを報告しに行ったのです。
間もなく、街道の方から、ガヤガヤと人声が聞えて、数名の百姓が駈けつけ、口々に勝手なことをわめきながら、彼を抱き上げて介抱し始めました。噂を聞きつけて、段々に人が集り、彼のまわりを黒山の様に取囲んで、騒ぎは段々大きくなるのです。
「ア、菰田の旦那やないか」
やがて、その中に、源三郎を見知っているものがあったと見え、大声に叫ぶのが聞えました。
「そうや、そうや」
二三の声がそれに応じました。すると、多勢の中には、もう菰田家の墓地の変事を聞知っているものもあって、「菰田の旦那が墓場から甦った」というどよめきが、一大奇蹟として、田舎人の口から口へと、伝って行くのでありました。
菰田家といえば、T市の附近では、いやM県全体に亙って、所の自慢になっている程の、県下随一の大資産家です。その当主が一度葬られて、十日もたってから、棺桶を破って生返って来たとあっては、彼等にとっては、驚倒的な一大事変に相違ありません。