Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
キチベエというのは「女の子」という意味の朝鮮語であった。「まだ、これでも朝鮮語を少しは覚えているな」という考えが彼を微笑させた。
彼の家でも、かつて、妹が赤ん坊の時分に、この年位の朝鮮の少女を雇ったことがあった。その時、彼は少女を「キチベエ」と呼んだり、「カンナナ」と呼んだりした。カンナナもキチベエと同じ意味の言葉であった。
黄色い服の少女は三造に見つめられて困ったように後を向き、何か彼に分らない言葉で呼びかけた。すると、その向うの木蔭から、三つ位の裸の男の児がよちよち出て来た。何よりも先ず、そのひどく出っぱった大きな臍が彼を失笑させた。少女は男の児の頭をコツンと一つ軽く叩くと、その手を引いて遠ざかって行って了った。その汚らしい女の子の後姿が、彼に、彼の最初の妖しい経験を思い出させるのであった。
ある晩、三造は一人の友達と一緒に街を歩いていた。その友達は、春画を買おうといった美しい少年であった。湯上りの、ほんのり染まった少年の顔には、小さな吹出物が一つ、塗ったように紅い、その脣のそばに出来ていた。それがへんに性慾的な美しさであった。三造は家へ帰りたくなかった。