Japanische Klassiker mit Furigana
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モスクワいんしょうき
モスクワ印象記
宮本 百合子
Lesen Sie モスクワ印象記 (モスクワいんしょうき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.941 Zeichen · 42 Bildschirme
然し、どっちみち明日の朝迄には立てるだろう。そう思って、最初の目的はすてずに彼の麻袋に腰かけて待っているのが、ロシアの、イワンの呑気だ。日本の呑気は、――やあ! こいつはおどろいた。えらい人だよ、止めちゃえ、やめちゃえ。馬鹿馬鹿しいや。それよかどっかへ行って――麻雀をするか、一杯ひっかけるか、それは彼の好み次第である。
技師ルイバコフが建築した協同家屋は、クロポトキンスキー広場の角に立っている。粗末な木の塀の上にエナメルの円い番地札と四角い札がうちつけてある。四角いのには郵便住所モスクワ三十四、木の塀について居る切戸の柱に掲示があった。――門内ニ便所ナシ――然し、何にもならず夕暮や夜、狭い切戸の隙間から通行人がすべり込んだ。技師ルイバコフは人減らしで三月前国立出版所をやめさせられた妻と子と自分の妹、女中、一組の下宿人とで、その協同家屋の室9に生活している。大きい室が二つ小さいのが二つ。台所、風呂場。四十年後に、室は市民ルイバコフの所有となるであろう。二ヵ月前までの下宿人はペルシア人の男とオデッサ生れの女で、男の本妻はペルシアにあった。彼等が出立して行った後、主婦は、熱情と南京虫を十八平方メートルの室から追っ払って、モスクワ夕刊新聞の広告欄を見た。