Japanische Klassiker mit Furigana
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かかこうしゅ
中国の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 中国の怪談(二) (かかこうしゅ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.926 Zeichen · 225 Bildschirme
彭はすこしも油断することができなかった。孤山の麓にある水仙廟がすぐ眼の前に見えてきた。もう陽が入って西の空が真赤に夕映えていた。女と老婆は水仙廟の手前から廟に沿うて折れて行った。その二人の顔に夕映の色がうっすらと映っていた。
みるみる女と老婆は水仙廟の後ろへ行ったが、そのまま見えなくなった。彭は女の姿が見えなくなると、小走りに走って廟後へ着くなり、ぴったり走ることを止めて、そのまわりに注意して廻ったが、何所へ行ったのかもう影も見えなかった。
彭はしかたなしに其所へ立ち止った。いつの間にか夕映も消えて四辺が微暗くなった中に、水仙廟の建物が黒い絵になって見えていた。
「おい、彭君じゃないか」
だしぬけに声をかけるものがあった。彭は吃驚して我に返った。それは霊隠寺へ行っていた友人であった。
「ああ君か」
「君は、いったい此所で何をしているのだ」
彭は女を捜しているとも言えなかった。
「散歩に来たところなのだ」
「そうかね、じゃ、いっしょに帰ろうじゃないか」
彭は友人と同時に帰ってきたが、女のことが諦められないので、翌日は朝から孤山の麓へ行って、彼方此方と探して歩いたがどうしても判らなかった。