Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lesen Sie 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.458 Zeichen · 363 Bildschirme
林も御用大事と心得ている人物であるので、外出する時には必ず重要書類を懐中して出て、途中でも二、三度ぐらいは検めることにしていた。
それで最初は無事であったが、ある時それが紛失したので、彼は三万銭の賞を賭けてその捜査を命じると、たちまちにそれを届けて来るものがあった。それで安心すると、又もや紛失した。又もや賞をかけると、又もや直ぐに届けて来た。こういうことが三度も四度も繰り返されたので、本人も怪しみ、他の者も不審をいだくようになった。これが果てしもなしに続くときは、彼の私財が尽きてしまうか、あるいは重要書類をうしなった罪に服するか、二つに一つは免かれないであろうと危ぶまれた。
林は独身者であるが、近来その部屋のなかで頻りに人声を聞くことがあった。殊に或る夜は何か声高に論じ合っているようであったが、暫くしてひっそりと鎮まった。あくる朝になっても戸もあけないので、出入りの婆さんが不思議に思って、近所の人びとを呼びあつめ、壁をぶちこわしてはいってみると、林は腰掛けの上にたおれていた。かれは剪刀で喉を突いて自殺したのである。
さてその死因はわからなかった。