Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
ぼくはサック・コートをぬいで草むらに投げだすと、レールの間にうつ伏せに寝て、電車がぼくを轢いてくれるのを待っていた。意外にも、電車は背中の皮にも触れずに通りすぎて行った。保線工夫がぼくを抱いてホームへ連れて行くと、駅員にこんなことをいっていた。
「上着を着ていたら、キャッチャー(排障器)にからまれて駄目だったろう。丸首シャツとパンツだけだったから助かったんだ」
太郎はどうしても死にたいので、野分の吹く夜、厨房用の石油を盗みだして寄宿舎の裏の野原へ行くと、崩れかけたコンクリートの掩体壕へ入って、肩と胸にたっぷりと石油をかけた。何本かマッチを無駄にしたところで、ようやく袖口に火が移ったが、気力のない炎をあげただけで、風に吹き消されてしまった。いくどかそんなことを繰返しているうちに石油のガスにやられて太郎は気を失ってしまった。厨房ストーヴに使う新式のケロシン油は、いきなり火になるむかしの石油のような引火性がなく、じれったいような緩慢な燃えかたをするものだということを、太郎は知らなかった。
「どういう目的で、お前はアメリカの資材に火をつけようとしたのか。警察では、正直にさえいえばゆるすといっている。