Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
この大湿林を、まさか上方からながめようとは思わなかったが、さすがその大眺望にはしばらく足を停めたほどだ。地平線は、樹海ではじまり樹海でおわっている。一色のふかい緑は空より濃く、まさに目のゆくかぎりを遮るものも、またこの単色をやぶる一物さえもないのだ。そうしてついに、この大湿林を抜けることができたのである。
楽々と、それまできた十倍以上を踏破し、北側の傾斜からまわって、絶壁のうえへ出ることができた。
見おろすと、眼下の悪魔の尿溜はいちめんの灰色の海だ。その涯がうつくしい残陽に燃え、ルウェンゾリの、絶嶺が孤島のようにうかんでいる。しかし、瘴癘の湿地からのがれてほっとしたかと思えば、ここは一草だにない焦熱の野である。
赤い、地獄のような土がぼろぼろに焼けて、たまに草地があると思えばおそろしい流沙であった。そしてそこから、雨期には川になる砂川が現われ、絶壁のちかくで地中に消えている。
「有難うカーク、どれほど君のために助かったことだろう」
「ほんとうですわ」
座間とマヌエラが真底から感謝した。それは、きて以来一滴も口にしない、おそろしい飢渇から救われたからだ。