Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
そして、雹、石のような雨。またその間に岩陰に目をむく、土族を追えば黒豹におどされる。まったく、それは四月間の地獄のような旅だった。そうして、七月のはじめバダジャッカに着いたのである。
そこには、バダジャッカの喇嘛寺があり、人煙はそこで杜絶える。しかし、そこから「天母生上の雲湖」へかけては大高原をなしている。
その夜、断雲からもれる月が雪のうえに輝いていた。巌の輪郭をきざんだ手近の尾根をながめながら、折竹とダネックがひそかに語っている。それは、ゆうべダネックが見付けたことであるが、ケティが深夜ケルミッシュの部屋へ入ったというのだ。
「どうも、白痴がケルミッシュ君に惚れてるらしいんだ。悪女の、なんとか情とかでケルミッシュ君も、ゆうべは辟易していたらしかったよ。それがね、僕が寝ようとした時だった」
牛の乾脂の燃える音が廊下を伝わってくる。ひょいと覗くと、ケティが平らな顔をニタリニタリとさせながら、向うのケルミッシュの部屋のなかへ入ってゆく。ダネックは、もの好き半分、扉のすきから覗きこんだ。
「なに、なんの用できたね」ケルミッシュが空咳をした。見るとなんだか、不味いものがいっぱい詰まったような顔だ。