Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
に、マヌエラがべらべらと喋りはじめたからだ。
マヌエラ! 断じて幽霊ではない、真実のマヌエラだ。昼間の、灼かれようとも挫けない人道主義の天使が、夜は、想像もされない別貌をしてあらわれたのだ。どっちだ? どっちが本当のマヌエラかと、座間は白痴のように頭を振り振り廊下へでていった。
と出会いがしらに、ドドの手を引いてカークがやってきた。
「君、馴育掛りのお嬢さんへようくいわなきァ駄目だぜ。鍵を忘れたもんだから勝手にでちまって、それに、此奴までがえらく亢奮している」
「どこにいたんだ?」
「患者面会人室の廊下の羽目際だ。なにか、こいつが亢奮するようなことがあったらしい」
なるほど、これまでのドドには決してみられなかった、一種異様な激情のさまを呈している。犬歯を歯齦まで鉤のようにむきだして、瞳は充血で金色にひかっている。そして、ひくい唸り声を絶れ絶れにたてながら、今にもかくれた野性がむんずと起きそうな、カークでさえハッと手をひくような有様だった。
それからドドをいれて扉に鍵をおろすと、座間はカークを促がしながら戸外へ出ていった。やがて本土とのあいだが二町ばかりにせまっている、有名なマラガシュの入江に出た。