Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いりえのほとり

入江のほとり

正宗 白鳥

Lesen Sie 入江のほとり (いりえのほとり) von 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.430 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

と、栄一は幾年か隔てて会うたびに不思議なほど異っている妹の顔を見入った。

「栄さんよりゃ才さんの方が老けて見えるがな。才さんの頭にゃ白髪がぎょうさん生えてる。もう若白髪じゃないなあ」勝代がそう言って、兄たちの顔を見比べると、ほかの者も知らず知らず相互の顔や頭に目を留めだした。よく見ると、離れていた間の年月は誰の顔にも刻まれていた。発育盛りの妹ばかり違っているのではなかった。

「何といっても四十近くなると、人間はそろそろ衰えだすんだね」栄一は弟に向って言って、「おれたちが一生にやりたいと思う好きなことをやってみるのは今のうちだぜ、金を活かして使うのも今のうちのような気がするよ」

「そのことはわしの方がいっそう本気で考えてる」と、才次は話に乗ってきて、「少し資本が続けば、この土地でもずいぶん利益の上る事業があるんじゃが、資本を自由に出してわしに任せてくれる者がないからちっとも実行ができん」と言って、老父がいつまでたっても、財産の一部も彼らに手渡ししない不平を微見かせた。

「おれは事業をやろうとは思わないが、今のうちに少くも気ままな旅行をしてみたいな、十分の路用を持って、二三年西洋へ行ってこられればそれに越したことはないが、支那とか朝鮮とかあるいは日本の内地だけでも端から端までゆっくり旅行してみたいよ。