Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「昨夜からでさあ、火事のあった頃から」
「では無断で逃げたんだな」
「逃げたには相違ありませんがね。道具をみんな置いて行ったので、いずれ帰っては来ましょうよ」
「道具?」と北山は眼を光らせた。「で、動物はどうなっている」
「つまりそいつが道具なんで……熊や猿や狼などを、ほったらかしたまま行っちまったんで」
「たしか蛇もいたようだが?」こう探るように北山は訊いた。
「ええおりますよ、幾通りもね」
北山は懐中へ手を入れた。紙入れを取り出し小粒を摘み、クルクルとそれを紙へ包んだ。
「少いけれど取ってお置き」
「これは旦那、済みませんねえ」
小屋者はヒョロヒョロ辞儀をした。
「ところでちょいと頼みがある。動物を見せてはくれまいか」
「へえへえお易いご用です」
若者は小屋の中へはいって行った。北山は後から従いて行った。
小屋の中は薄暗く、妙にジメジメと湿っていた。小屋を抜けて庭へ出た。そこに幾個かの檻があった。いろいろの動物が蠢いていた。
一つの小さな檻があった。
その中に五、六匹の小蛇がいた。卯の花のように白い肌へ、陽の光がチラチラとこぼれていた。一尺ほどの小蛇であった。みんな穏しく眠っていた。