Japanische Klassiker mit Furigana
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はつたびのだいぼさつれんれい
初旅の大菩薩連嶺
木暮 理太郎
Lesen Sie 初旅の大菩薩連嶺 (はつたびのだいぼさつれんれい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.508 Zeichen · 19 Bildschirme
頂上から二十分許り黒木の中を北に進むと、尾根が痩せて大きな岩が露出し、木は拗けて丈が矮くなり、黒檜、米栂、米躑躅などが多い。大菩薩連嶺中で最も異彩を放っている場所である。遠く奥上州の白根あたりが見えた。黒木立を抜けると笹の交っている茅原の鞍部で、狼平の名があることは後に知った。此処からは最早茅処続きで前方が見透せるし、天気も好いから何の心配もない。狼平から十五分で『甲斐国志』に所謂小菅大菩薩峠即ち天狗棚山の頂上、更に二十五分で熊沢山の頂上に着いた。張り詰めて居た気が弛んだせいか、この上りには皆うんざりした。
最早時間は遅いし、略ぼ所期の目的を達したので、大菩薩岳は割愛することにして、直ぐさま出発すれば無事であったろうに、何と暢気にもシャクナゲのステッキを作る材料にと言うので、適当な木を探す為めに一時間も費してしまった。日影の傾いたのに驚いて時計を見ると四時に五分前だ。それでやっと思い切って丹波山に向って下り始める。フルコンバの小屋から左に尾根を伝うものが其道で、東京市で植林したカラマツの若木の中に通じている。可なり急いだけれども山葵谷の三角点まで行かぬ中にとっぷりと日は暮れて、鼻を抓まれてもわからない真の闇となってしまった。