Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

「危険い! そんな、刃物なんか! ……誰か来てください! あッ誰か!」

(これはいけない)と貝十郎は、素早く入り口の方へ走って行った。が、こういう瞬間にも彼は疑問を脳裡へ浮かべた。

(俺の耳へさえ聞こえて来たのだ。隼二郎にも聞こえなければならない。どうして助けに行かないのだろう?)――で彼は庭へ飛び出すより先に、隼二郎のいる部屋を覗いて見た。

「いない! ……どうしたのだ、隼二郎はいない!」

部屋は洋風に出来ていて、巨大な飾り棚や頑丈な卓や、椅子や書架が置いてあり、卓の上には杉田玄伯や、前野良沢や大槻玄沢や、貝十郎にとっては知己にあたる、そういう蘭医達の家々で見かける、外科の道具類が置いてあり、書棚には書物が詰めてあった。

その部屋に隼二郎がいないのである。では隣室へでも行ったのであろうか? いやその部屋は四方壁で、出入り口は一つしか附いていなかった。窓はあったが閉ざされていた。そうして一つだけの出入り口からは、お豊が出て行ったばかりであって、隼二郎は出ては行かなかった。それは貝十郎も見て知っていた。

(これはいったいどうしたことだ)

八

しかし貝十郎は部屋の中へはいって、隼二郎を探そうとはしなかった。