Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
あとをくっついてどこまでも来るといいんだけど。
こんな事も思って居た。
その日は床に入るまで千世子は鳩の事ばっかり思いつづけた。
(三)
鳩の御夫婦が来てから千世子は女中が起しに来るとすぐ床をぬけ出て「ふせかご」の中や木の枝に面白そうにのんきらしい様子に遊んで居る気軽者を見て機嫌よくして居る日が幾日も幾日もつづいた。
そうすると女中は気をゆるめた様にきっちりたのんだ時間でない時に耳元で、
貴方様
と呼んだり、
鳩はもうさっきから出て居りますんですよ。
と云ったりする様になった。
いまいましそうな顔をして、
お前ねえ鳩が来たからって時間は時間だよ。
なんかと云う様な事もあった。
女中も面白半分に鳩には親切にした。椿の花の下でしきりに羽虫を取りっこして居る二つの白いかたまりを見ながら日あたりのいい南の縁に足を投げ出して千世子は安っぽい――それでも絹の袢衿をやりながら云った。
お前がねえ、
鳩によくしてお呉れだからあげるんだよ、
だから若しひどくすれば取り返してしまう。
小娘の様な顔をして人のいい様子をして居る気むらな我ままな若い女主人の様子を女中は嬉しさと馬鹿にした気持が半々になった心で見ながら心の底の底では、今呉れた衿と今千世子の掛けて居るのとをくらべて居た。