Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぼく

南北

横光 利一

Lesen Sie 南北 (なんぼく) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.591 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

五

もうもうお前、今夜あたりでも参るかもしれんのじゃ。」

「そんなことを云うてらちがあくか。」

「こらかなわんのう。」

「行こって、行こって、悪るうなりゃ俺が引き受けてやろぞ。」

「もうお前。」

「行こ行こ、何んじゃ!」

勘次は安次の手首をとった。安次は両足を菱張りに曲げて立ち上った。

五

秋三は麦の種播きに出掛けようと思っていた。が、勘次が安次を間もなく連れて来るにちがいなかろうと思われるとそう遠くへ行く気にもなれなかった。で、彼は軒で薪を割りながら暇々に家の中の人声に気をつけた。

よく肥えた秋三の母のお留は古着物を背負って、村々を廻って帰って来た。

「今日は馬が狸橋から落ちよってさ。」

彼女は人の見えない内庭へ這入って大声でそう云うと、荷を縁に下ろして顔を撫でた。が、便所へ行く筈だったと気が附くと、裾を捲って裏口へ行きかけたが、台所の土瓶が眼につくと、また咽喉が渇いているのに気がついた。彼女は土瓶を冠って湯を飲んだ。そこへ勘次が安次を連れて這入って来た。

「秋公いるかな?」

「お前今日な、馬が狸橋の上から落ちよってさ、そりゃ豪いこっちゃぞな。」とお留は云った。

「秋公はな! 今俺とこへ来よったんやが。