Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼく
南北
横光 利一
Lesen Sie 南北 (なんぼく) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.591 Zeichen · 40 Bildschirme
勘次は桑の根株を割って風呂場の下を焚きつけた。煙は風呂場の下から逆に勘次の眼を攻めて、内庭へ舞い込むと、上り框から表の方を眺めている勘次の母におそいかかった。と、彼女は、天井に沿っている店の缶詰棚へ乱れかかる煙の下から、
「宝船じゃ、宝船じゃ。」と云いながら秋三が一人の乞食を連れて這入って来るのが眼に留まった。
「やかまし、何じゃ。」と彼女は云った。
「伯母やん、結構なもんが着いたぞ、喜びやれ。」
勘次の母は店の間へ出て行って乞食の顔を見た。
「まア珍しい、安次やないか!」
「安次も提灯もあったもんか、えらい高次じゃ。」
秋三は店の間をぐるりと見廻した。が、勘次に逢うのが不快であった。彼はそのまま、帰ろうと思って敷居の外へ出かけると、
「秋公帰ぬのか?」と安次が訊いた。
「もう好えやろが。」
「云うてくれ、云うてくれ。」
「云うてくれって、お前宝船やないか、ゆっくりそこへ坐っとりゃ好えのじゃ。」
「こらこら、俺も行くぞ。」
「阿呆ぬかせ! 伯母やん、此奴どっこも行くとこが無うて困っとるのやが、ちょっとの間、世話してやっとくれ。」
「そんなこと云うて来てお前。」
と勘次の母が顔を曇らせて云いかけると、安次は行司が軍扇を引くときのような恰好で、