Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
だが――奈良崎が、避けたはずみに、隣りの味方――浪人者の一人へ、身体がどんと、ぶっつかった。お互に、よろめいた。奈良崎は膝をついた。そして、眼を剥き出し、絶望的な光を放って、一木を睨んだ。その瞬間、一木の打ち込んだ刀が、びーんと腕へ響いた。奈良崎は、膝を立て直そうと、片足を動かした時、太腿に、灼けつくような痛みと、突かれたという感じとを受けて、腰を草の上へ落してしまった。
「卑怯、卑怯」
奈良崎は、血走る眼、歪んだ脣、曲った眉をして、叫んだ。誰に叫んだのか、自分でも判らなかったが、こうでも叫ぶほか仕方がなかった。だが、一木は
「えい、えいっ、えいっ」
それは殺人の魔に憑かれた人間のように、倒れかかっている奈良崎へ、力任せに、つづけざまに、大太刀を打ち込んで来た。奈良崎は、その隙間なく打降ろす刀を受けるだけで一生懸命であった。二人とも逆上したように、憑かれたように、同じことを繰返していた。
「わーっ」
それは、杉木立の中へ、反響して、空まで響くような叫び声であった。そして、すぐ奈良崎の頭へ誰かが斬られたらしい生あたたかいものが、小雨のように降ってきた。