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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

湯本から急な登りになる石敷の道は険しかったし、赤土の道は、木蔭の湿りと、木の露とで滑り易かった。

「おう」

と、駕屋が、振向いて、後棒へ

「妙ちきりんなものが、現れましたぜ」

その声に、綱手が、駕から覗くと、遠くの曲り角へ、槍を持って白布で頭を包んだらしい侍が、急ぎ足に降って来た。

駕屋は斜にしていた駕を真直ぐにして、その侍を避けるように、道傍を、ゆっくり登って行った。七瀬も、綱手も、その侍は、八郎太と小太郎とを討取った戻り道のような気がして、胸が高く鳴り出した。

「綱手、あの方は、御邸の一木様ではないか」

「はい、お母様――」

と、いった時、もう、一木は、駕のすぐ間近まで来ていた。七瀬が

「一寸、駕屋」

と、声をかけて、駕が止まるか、止まらぬかに、駕の外へ足を出して、降りかけながら

「一木様」

と、叫んだ。

一木は、答えないで、七瀬へ、冷たい一瞥を送って、行きすぎようとした。その途端、綱手が

「一木様っ――それは」

と、叫んだ。一木の左の腰に――それは、確かに、首を包んだ包と覚しいものが、縛りつけてあった。七瀬は、駕を出て

「卒爾ながら――」

一木は、七瀬を、睨んで立止まった。