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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「お侍ちなされませ、女と侮って、薩摩隼人ともあろうものが、人の物を強奪して――」

「強奪? 無礼者」

一人は、駕から手を放すと、七瀬の胸を突いた。七瀬はよろめいた。

「何をされます」

甲高く叫んだ。綱手が

「お母様」

と、叫んで、七瀬の前へ立った。ぶるぶる顫える脣をしめて、侍を睨んだ。

「旦那、手荒いことは」

駕屋が、侍を止めた。

「素浪人分際の女として、無礼呼ばわり――」

「これが無礼でなくて――」

と、七瀬が、ふるえ声でいった時、一梃の駕が、手負のところへ行き、一人が、手負を抱いて駕の中へ入れた。綱手は、母を片手で押えながら

「駕は、二梃共、御入用?」

侍は、落ちついた綱手の態度と、その美しさと、物柔かさとに、挫けながら

「一梃でよい――無礼な」

と、呟いて、駕の方へ去った。七瀬は、身体を顫わせていた。

「お母様、お駕へ。妾は、歩いて参ります」

七瀬は、涙をためて、侍の方を睨んでいた。

「あれっ、彼処に一人死んでいる」

と、駕屋は指さして、低く云った。

遥かに、芦の湖が展開して来た。沈鬱な色をして、低い灰色の雲を写していた。

「益満氏、益満氏ではないか」

後方から、絶叫した者があった。