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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

それと、同時に、七八人の口から、懸声が一斉に起って、又二人に近づいて来た。八郎太が

「小太郎、犬死せまいぞ。この人数では敵わぬ。わしは死ぬ。お前は、早く逃げい」

と、耳のところで囁いた。

「老いぼれっ。参るぞ」

じりっと、一人が一足つめて来た。瞬間

「や、やあっ」

右手から、繰出した槍――八郎太は、自分を牽制するための槍とは知ってはいたが、反射的に避けたはずみ――たたっと、よろめくと

「ええいっ」

八相の烈剣、きえーっと、風切る音を立てて打込んだ。よろめきつつ、がんと受けたが、その獰猛な力に圧倒されて、刀の下った隙――頭から、額へかけて、頭蓋骨を切り裂かんばかりの一刀――八郎太は、その瞬間、眼を閉じてしまった。よろめいた。地が引っ繰り返って、天になりそうに、脚が、細く、力無くなって、身体が宙返りするように感じた。頭の中で、があーんと、頭いっぱいに鳴り響くものと、全身にこたえた痛みとがあった。眼を開いているつもりであったが、暗黒だった。夢中で、刀を、頭上に構えた。そして

「小太郎、犬死すな」

と、自分では、力いっぱいに叫んだつもりだが、自分の耳にも聞えなかった。