Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい」

二人は、脚絆をはずして、埃を叩いた。そして、襟を、裾を合せ、障子を開けた。七輪に、土鍋をかけて、草を、膝の左右へ並べて、薄汚れた白衣の老僧が、坐っていた。二人が手をつくと

「ほほう、似ておる」

と、綱手に、微笑して、すぐ、百城を見たが

「御夫婦か」

綱手が、首を振って

「いいえ」

「身寄りか」

「いえ、身寄りでも――」

義観は、じっと月丸を眺めていたが

「利発な方じゃが、瞳中少し、険難だの」

「剣難」

「剣ではない、陰険の険」

「はっ」

「ま、気をつけるがよい。病人は、全身に十二三ヶ所疵している。命に別条はない。ただ、熱が高い。これから、薬を煎じるのじゃが――その間に、顔だけ見るがよい。未だ囈言をいって、正気づいておらん」

義観は、草を持った手で、次の間を指さした。

小太郎は、汚れた、白い、薄い、蒲団を被て、つつましく臥っていた。頭から、耳、頤へかけて陰気な部屋の中に、くっきり白く浮き立つ繃帯をして、片方の眼だけ、微かに、白眼を見せて、眠っていた。

顔色は、灰とも、土とも、白いとも、つかぬような色をして、江戸の時と、一月にもならぬのに、げっそり痩せてしまっていた。