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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「如何でござります」

「久光」

喘ぐような声であった。

「回復は――到底、難かしい」

その声の中には、斉彬の、死の覚悟が、瞭乎としていたし、死の影さえ、含まれているように感じられるものであった。

「いいえ、左様な――」

「一同を呼べ」

「はい」

久光は、そう云われて、すぐ立つことは、自分までが、斉彬の死を肯定しているようで、立てなかった。だが、常の人に、気安めをいうように、この兄に対して、ありふれた慰めの言葉も、かけられなかった。

ただ、絶望と、憤りとで、自分のこうして坐っている脚下の砂が、だんだん谷底へ、崩れ落ちて行くように感じた。何んにも、縋るべきものがなかった――ただ一つ縋っている、斉彬が死ぬことに対して、ただ、もがくより外にない自分に対して、怒りを感じた。

「呼べ」

「はい」

久光は、一人の医者に、眼配せをした。そして

「只今」

と、云った。医者が立って行くと、すぐ、将曹、豊後、平、側用人種子島六郎、島津石見が、入って来た。久光が

「一同、御前に」

と、云った。斉彬は、眼を閉じたまま、低い声で

「わしの亡き後は、久光――忠義(久光の子)に相続させい。お前が、後見――」