Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
吉之助は
(亡くなすものか――亡くなっては、いけませぬぞ――亡くなしてみるがいい)
と、歯噛みしながら――自分が、庭へ行けば、きっと、お癒ししてみせる、と云ったような意気込みで、走って行った。
もう、一族の人々は、集まりかけていて、御病床は、それらの人々の後姿で、いっぱいであった。
吉之助は、はだしのまま入って来て、後向きの人々の肩の、頭の間から、ちらっと見える、座の人々の憂色を見ると、脣を噛んで、庭先へ、坐ってしまった。
自分の息づかいも、汗も、小石に痛む膝も、暮れかかろうとする空の明るさも、何も、感じなかった。坐ると同時に、涙で、眼も、心も、曇ってしまった。
(いけないらしい)
と、部屋の、沈欝さから感じると、空も、地も、国中の人々も、天下の誰も、この人の死に対して、首をたれているような感じがして来て、ただ、じっと、冥福を祈っているより外に、何も考えることのできない、悲しみに満ちた心に、頭になってしまった。
部屋にいる人々で、庭の方に坐っている人が、左右へ開いた。斉彬の顔が、暗い部屋の中に朧気に見えた。誰かが、斉彬が、何かいっているらしく、時々、低い声が、吉之助の耳に入って来た。