Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぽうゆうしん
南方郵信
中村 地平
Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme
そして、遠足などの時のように、垢のたまった脛をちらつかせながら、跣足で行列について歩いた。先生がいよいよ汽車に乗ってしまうと、高等科の女生徒などは、声をあげて泣きだしたが、お浜だけは悲しそうな顔もせず、相変らずにやにや笑いながら、木柵にもたれて、先生を眺めていた。見ている人たちに、それは哀れな、奇妙な感じをあたえた。
まだ日の暮れない秋の夕であった。馬力の六やんは隣り村からの帰り径、千両坂のてっぺんで休んでいた。
坂のてっぺんには一本松が在って、松の樹の下には、石の地蔵さまが祭ってある。六やんはふりのいい、太い松の枝に馬をつなぎ、自分は地蔵さまの前にかがんで、煙草をふかしていた。松の梢では烏の群が無気味な声で啼きあい、賑かな羽音を時折り、六やんの頭上に落下させている。松の枯れ葉が顔にちりかかる。
間もなく六やんは煙管を腰の煙草入れにしまいこみ、背のびしながらたちあがった。そして馬の手綱をほどいたあと、なに気なく坂の下を眺めた。六やんはびっくりした。
お浜の住み家であるトタンぶきのあばら屋から、辺りをうかがうようにして、一人の男が戸外の薄す闇のなかに出てきたのである。