Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
襟までフサフサと垂れている白髪頭を見て今松は、岡崎の古寺へでてくる十二単を着た化け猫の姿を思い出した。
オヤこんな御隠居さんがお出でなすったのか。
じゃうるさいぞ、なかなか家のなかは。
どうせお金持ちのところの養子だから、一から十までうまい話にはゆかないとは思っていたけれど。
「…………」
チラリ桃輔のほうを見たが、膝へ手を置いて正面を向いたままでいる。
「ようお出でたなあ、くつろぎなさい」
びっくりするほど若い声で、床の間の前へ座った御隠居様はおっしゃった。
「ヘイ」
ペタペタとお辞儀をしながら、口早に低い声で桃輔が今松を紹合わせた。
ていねいに今松もお辞儀をした。
「くつろぎなさい」
もういちど御隠居様は言った。
はじめて二人は顔を上げた。
雪の反射で明るく見える御隠居様の、張り裂けたような唇に、ひとすじ紅が曳かれているように今松はおもえた。
「これよ」
大様に御隠居様は、パタンパタンと手を鳴らした。
「…………」
襖を開けて女中が外から白い顔を見せた。
「お寒いからあの、あれをな」
御隠居様はギロッと怖ろしい目に意味をもたせた。
「かしこまりました」
間もなく五、六人のお女中で、あとからあとから運ばれてきた、おびただしいお酒が、お肴が。