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Japanische Klassiker mit Furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

三

心の中で思いながら、いつまでもいつまでもいつまでもお艶は立ちつくしていた。

目路の限りの暗がりのなかに、今松の姿はもう見えなかった……。

三

あくる朝、駒形の鶴助の家の二階で目をさまして今松は、つまらないことをしたと思った。

あんなにむかッ腹を立ててしまうんじゃなかった。

なぜお汁粉屋まで一緒に行って、もういっぺんまごころをつくして、頼んでみなかったんだろう。

至誠の前には、鬼畜といえどもなびき、かしずくと言うではないか。

ましてや相手はお艶ちゃんだ。

俺の一生懸命さが、あの人の心をゆさぶらないわけはあるまい。

そうすればこの俺哀れと思い、しまいにはお艶ちゃんだって根負けがして、三河屋行きはやめにしてくれたかもしれない。

それをあんなに袖なく別れてきてしまっては、どうにももう手の施しようがない。

ああ俺は馬鹿だった、馬鹿だった。

つくづく今松は後悔した。

第一、もうお艶は来ないだろうと思うと、今夜、寄席へゆくことがおそろしかった。

今松の江戸前のキビキビした顔は、尽きせぬ悔恨と疲労とでひと晩のうちにゲッソリと痩せてしまった。

「今晩は……御苦労さま」