Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
叱られないうちまた続けた。
「水行末、雲来末の風来末、食う寝る所の住む所、やぶら小路藪柑子、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピー、ポンポコナーの長久命の長助……寿限無寿限無五劫の摺切れ、海砂利水魚の水行末、雲来末の風来末、食う寝る所の住む所、やぶら小路藪柑子……」
もういっぺんやった。さらにまた、やった。またやった。またやった。だんだん舌が硬ばって痺れてきた。ラ行の音が怪しくなった。それでもやっぱり繰り返した。いつか目をつむって一心にしゃべりつづけていた今松の鼻先を、にわかにプーンと掠める花麝香のような匂いがあった。
思わず薄目を開けてみた。
「…………」
マーガレットに結った大柄の艶かしい娘が、やや着古しの紫ぞ濃き元禄模様の普段着のまま、自分と少し離れたところに、ションボリとして座っていた。
ア、お艶ちゃんだ。
今松は少しドギマギした。
同じ柳派へ出て新内を語っているこのお艶は、たしか自分よりひとつ年下だが、あだな節廻し、撥さばきが、美しい高座姿とともに今なかなかの人気を呼んでいる。
なぜか今松とは不思議に気が合って、前座になったばかりの自分なのに、初めて見習いに出た三の輪の新花亭以来、いつも分け隔てのない口を利いてくれている。