Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
歩き出しながら今松はコクリとひとつ、うなずいた。
さっき大急ぎで今松ひとり、入谷の師匠の所を飛び出し、佐竹の寄席へ駆けつけると、お艶も二軒目のお成道の席をすまして入ってきた。
今がちょうど、その帰り途だった。
「だってお席亭さんがお神さんと二人してお話しかけなさるんでしょ。うかがってないわけにゃゆかないし、気が気じゃなかったけどつい遅くなっちまったの、ごめんなさいね」
覗き込むようにして言ったが、やっぱり今松はうなずいたばかりだった。
そのまま二人は夜更けの佐竹通りを、小島町から永住町のほうへトコトコ歩いていった。
「ネエ今松さん」
しばらくしてまた言った。
「でも私ほんとに今夜くらい気が気じゃなかったことなかったのよ。表にゃあんたが待ってくれてるでしょう。早く早くと思ったんだけれど……」
「…………」
「潮時を見て立ちかけると、また話し出されるの。で、また少し話して立とうとすると、観音様の市のとき仲見世で買ってきたんだからなんて言って、桜の花の入ったお湯なんか出してきてすすめられるの。困ったわ、私」
「…………」
「しまいにはもうすっかり気が立ってしまって、返事もなにも上の空でトンチンカンにばかりなっちゃったわ」