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Japanische Klassiker mit Furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

「なあ今松」

そのときようやく涙の顔を拭いて海老団治が、

「もう去に、お前」

突然、言い出した。

「俺は仕様ない、こんな事情や、なにも苦労と踏んばってやれるだけやってみるが、お前は土台が江戸っ子や。なにもこないなところに愚図ついてることない、去にいな、もう東京へ」

「…………」

素直にうなずいて今松は、

「じつは……じつは今、俺もそのこと考え出してたんだ」

「そらええ」

ニッコリと海老団治笑って、

「自分で気がついてたらなによりや。ハッキリ言うが、あんたは厳重な修業さえしたら、きっときっとえらい真打になれる人や。名人上手となれる人や。俺みたいな師匠なしとちがう。早う助六師匠に詫言うてもろうて、みっちり故郷で修業しなはれ。あんたの出世、俺、神仏に手合わせて祈ってるで」

「ありがとう、ありがとうよ海老」

鼻をつまらせて今松、

「俺だって……俺だって、お前が紅梅派で辛い思いをしねえように、お不動様へお願いしてるぜ。なあに中風だって治るんだ手当さえ早きゃ。父さんが……父さんがきっと早くよくなるようにほんとにお不動様へお願い申して……」

「すまんすまん、すまんなあ今松、俺もうお前のその言葉だけで、たとえ岡村の大将に叩かりょうと打たりょうと泥つけた靴で蹴らりょうと……」