Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
「…………」
「その代わり今松さん、今夜遠回りして私、堀田原抜けてくわ。そしてあんたン家まで送ってってあげるわ」
今松は駒形堂の側の裏通りにいる百面相の鶴助の家の二階を借りているのだった。
「ネ、そんならいいでしょう」
なにを話しかけても、返事をしなかった。
「…………」
夜目にもガックリと男の首がうなだれていた。
「ま、どうしたのよあんた。どうして黙ってばかりいるの。お腹でも痛いの」
「…………」
黙って首を横に振った。
「ああ、わかった。あんたあんまり私が待たせたんで怒ってるのね。だから待たせたことはごめんなさいってさっきからあんなにあやまっているじゃないの。じゃ、もういっぺんあやまるわ。ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。ネ、いいでしょう」
甘えるように言ったけれど、やっぱり首を振りつづけていた。
「…………」
相手の心持ちが量りかねてお艶は、接穂がなくなってしまった。
寂しく悲しくなってしまった。
そのときだった。
「お艶ちゃん。だってお艶ちゃんは」
にわかに、今松が顔を上げて、
「あの三河屋とかへ行ってしまうって言うんじゃないか」
怨めしそうに口を尖らせた。