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Japanische Klassiker mit Furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

さすがにハッとしたらしかった。うつむいたまま歩いていたが、スンナリしたお艶の肩が小刻みに慄えだしていた。

「そりゃ、そりゃ私だって、行きたいことはないんだけれど」

ややしばらくしてとぎれとぎれに、

「なにしろ阿母さんがあれでしょう。行かなければならないの、今松さん。あんたとももう逢われなくなるのねえ」

お高祖頭巾のなかの切れ長の目が、いつしかシットリ潤んでいた。

「いやだ。いやだよ俺は、お艶ちゃん。いくら阿母さんが大病たって、お前さんなんか柳派の若手でも人気者の新内語りじゃないか。二軒の寄席を三軒稼げば、阿母さんの薬代くらいなんとか都合のつくはずだ。立派な芸を持ちながらなにも七十いくつになる三河屋の御隠居の後妻なんかに」

いかにも心外で心外でならない口ぶりだった。キリリとした今松の眉が露に怒りをみせてきていた。

「だって今松さん。私アもう寄席芸人なんて商売にあきあきしてしまったのさ。骨ばかり折れて、頭は使って、そのくせお給金なんていくらのものでもない、そこへもってきて阿母さんの病気でしょう。私アもう精も根もホトホト尽きてしまったもの。どうせこんなつまらないずくめだから、いっそのこと三河屋さんの大旦那のお神さんにでも」