Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
三
みすみす今ここでそのお金があったら、着物一枚こしらえられるとしても、ジッと歯をくいしばって我慢することだ。
それが必ず後日のためにはなっていくのだ。
鯛を釣るのは骨が折れるし、鰯はたやすく釣れるだろう。
しかもその鯛は滅多に釣れなくて自分は釣竿を前にジイッと腕こまねいていることになり、ちょいと見るとどんどん鰯を釣っている奴らのほうが景気が好いから、今松の野郎、お茶ばかりひいていやがると仲間から嗤われもするだろう。
しかし――しかし、一度釣り上げたさえしたら、その鯛の見事さ。
百千の鰯もいっぺんに消し飛んで、姿をかき消してしまうだろう。
石にかじりついたとて、鯛釣る日まで待つことだ、耐えることだ。
美しくも今松はこう覚悟した。
三
この修業に加うるに、この覚悟。
縦からも、横からも、もうまったく今松はグーとも言わせない一人前以上の人間となっていた。
しかも、人生劇場の出世の神様は、まだまだ今松に立派な当たり役を振り当ててはくださらなかった。
ばかりじゃない、そのもはや完全に近い今松の上へ、さらにいろいろさまざまの雨や雪や霙や霰や炭を降らせた、そうして、虐めた。