Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
お艶ちゃんばかりは人の妾になるようなだらしのねえ女じゃねえって俺、啖呵を切ってやったんだ。でもいくらお妾でなくったって相手が三河屋の七十爺さんじゃなあ。それから三日と経たねえうちに、あいつに兜をぬがなきゃならねえなんて」
兄弟子雷蔵の目の、ギョロリとして青味がかった憎体な顔が、今松の前の闇のなかへヌーッと見えた。
「けッ。どうすりゃ、こうも俺って奴ア不運なんだろう。生みの親はわからないし、大事にかわいがってくれたお祖父さんお祖母さんにゃ早く死に別れるし、引き取られた義理の親の家アいやに上品ぶってて、俺を医者にばかりしたがるからすッ飛び出して好きな落語家になって、やっとお艶ちゃんみたいな人と生涯付き合えると思ったら、またこんな……」
今松の声が湿ってきた。
助六師匠は好きだれど、とても短気で、気むずかしい。
肉親のない今松にとってはほんとうにお艶ばかりが、闇夜を照らす燈台の灯だった、その灯がだしぬけに今、ふッと掻き消されてゆくとしたら――。
「お前さんにゃ俺の了見がわからねえんだ」
にわかに、ジーンとこみ上げてくるものがあった。
汚い外套の襟を立てながら、キュッと唇を噛んでいた。