Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
その今松ッあんが私にあるだけのお金をば。
思わず身体を近寄せていった。
「いいかいいいかい。だからほんとにやめてね」
言いながら開けたがま口の中。
十銭銀貨が一枚、大きな二銭銅貨が三枚、あと一銭が二枚、寝そびれているばかりだった。
「イヤだ、そんな十八銭ばかし――」
ガッカリとお艶は言ってしまった。
「駄目か」
こっちもガッカリしたように、
「十八銭じゃ足りねえか」
しばらくその蟇口を片手で振り動かしていたが、
「ア、いいことがあら、俺の知ってるところだけで七所借りしてこよう。そうすりゃ、そうすりゃ、きっとお艶ちゃんの入用なだけ」
「いくらになるの、いったいそれ」
「そうよな。あすことあすことあすことあすことあすことあるから……」
歩きながら指を折りつづけていたが、やがてのことに勢い込んで、
「ねえ、十三円と八十銭ばかしに」
「駄目、とても駄目よ。足りやしないわ」
本意なさそうにお艶は言った。
「いったい……いったい、いくらなんだ、そのお艶ちゃんの要るお銭って」
「永いこと阿母さんの病気で積もり積もっているうえに、まだまだこのうえだってとても要るから」
「だからよ、いったい、いくらだってば」