Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
このお嫁さんの言い立ても、割合に今松は叱られなかった。
「お前、こっちのほうが『寿限無』より出来がよさそうだぜ」
師匠の助六はこうさえ言ってくれた。
やかまし屋の師匠が、ほんのちょっとでもこんなこと言うなんて。
まったく珍しいことだった。
嬉しくて今松はいっそうの馬力を掛けた。
まもなく「垂乳根」一席が大過なく覚えられた。
こう調子よく覚えられたものは、自分でもしゃべるに手勝手がいい。出来がいい。
「妾ことの姓名を問い給うか、父は元、京都の産にして――」
寝ると、起きると、心持ち好くこの一齣を繰り返した。
もしこのお嫁さんがお艶ちゃんだったら。
一生懸命、花嫁の長口上をしゃべっているとついそう思わずにはいられなかった。
もしお艶ちゃんが大内へ御官女に上がっていてこんな馬鹿ていねいな言葉ばかり使うのだったら、俺は決してこの職人さんのように閉口したりなんかしないだろうに。
いや、もしこの職人さんが手を焼いて、三下り半を叩き付けたとしたら。
出戻りになったお艶ちゃんだっていい。俺、喜んで手を出してもらうだろうに。
つくづくそれが考えられた。
「もういいたらちめは卒業だ」