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Japanische Klassiker mit Furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

三

表を歩いておいでのお方様は全部お客様と存じあげて、常々失礼のないように心掛けていろイ。そいつをあろうことかあるめえことか、ト、飛んでもねえ、向こう様がおなぐんなすったからって、こちらも先方様をなぐり返すなんて、ソソ、そんなわからねえヘチャムクレが――」

もう一度助六の右手が、ピシリと今松の頬の上で、烈しい音を立てていた。

三

まだ日の沈みきらない上野広小路の角の焼鳥屋の紺暖簾を、肩で今松はくぐっていた。

まずい字で経木へ一本五厘。焼きたての串へさした焼鳥が、大きなお皿の上で、いい匂いをさせて煙を立てていた。

「もらうよ小父さんこれ。そいからお酒をコップで二杯ばかり、冷でいいんだ」

いい加減、もう頬を染めている今松が、いきなり焼鳥の串を口へ運びながら、痩せた人の好さそうな爺さんに声を掛けた。

師匠の帰ったあと中っ腹で木原の楽屋を飛び出すと、食傷新道のゆきつけの家へ飛び込んで、とりあえず二、三本、徳利を倒した今松だった。

それから足に任せてブラブラブラブラ日本橋を神田、お成道とこの上野まで。ちょうど、鈴本の夜の高座へ、うってつけの時刻になっていた。

脂の乗ったモツの肉を頬張りながら見上げる初夏の空はお納戸色に明るく暮れのこって、頭の上いっぱいにヒラヒラ蝙蝠が飛び交っていた。