Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
ないかね。どう考えても己は生まれない前から呪われている! 太閤が生まれたときには母親は太陽を夢みたというし、西洋の耶蘇が生まれたときには空の星辰が一時に輝いて祝福したというが、己の生まれたときには恐らく蟇か蚯蚓が唸ったかも知れやしない!」
お光は静かに兄の流れ出す言葉を聴いていた。一生懸命聴くことがせめてもの彼女の出来ることであった。二人は波打際の伝馬船の蔭に腰を下していた。
「己が北野家の嫡子に生まれたことが第一皮肉じゃないかしら。この、重い石塊一つ持てない肉体、うまい魚を少し食いすぎればもう吐き出す胃袋、それが北野家の長男だからおかしいじゃないか。なるほど己は学問が好きだ。天地の道理を知る歓びは己の一つの傲りである。しかし己が北野家の長男であるが故に、家を出て思う存分勉強出来ないじゃないか。また勉強できたところが、己のこの呪われた身体では知るだけで実行出来ないじゃないか。あはははは。要するに己は呪われているのさ。己は北野家の富と地位を守る番人としても碌な奴でないし、学問しても碌な学者にはなれないし、あははははは。親爺はえらい厄介なものを生んでくれたものだ。