Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
葬式なんて考えるだけでも厭だ」
「厭でも死ねば仕方がないのじゃなくって」
「それあ仕方ないさ。仕方ないったって、和歌子さんだって死ぬのは厭だろう」
「厭ですわ! 死ぬなんて!」
二人は堅く手を握り合って、足下を流れる水流を見つめていた。平一郎は亡き父のことを想い浮かべていた。和歌子は虎に食われて死んだという亡き母のことを考えていた。もく/\と流水は絶えず同じ瀬を作って流れて行った。
「何を考えているのだい」
「わたし? わたし亡くなった母さんのことを考えていましたの」
「僕も亡くなった父さんのこと考えかけたところだ」
二人はまた黙っていた。今度は和歌子が話し出した。
「平一郎さん」
「何?」
「めおとってどんなことか平一郎さん知っていて?」
「知っているさ」
「どんなことなの?」
平一郎は大きく言った。
「僕達はいまにきっとめおとになるんだよ! ね! 和歌子さん!」
「――」
「いまに僕は偉くなるんだからね。僕は貧乏さ。それでも僕は勉強していまに第一流の政治家になってこの世の生活をもっといいものにして見せるからね。僕は和歌子さんとめおとになっても恥かしくないようにきっとなるからね――」