Japanische Klassiker mit Furigana
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よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
Lesen Sie 夜の構図 (よるのこうず) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.068 Zeichen · 125 Bildschirme
「朝食九時までだろう? 起きられるかな。僕、朝寝坊だから……」
「電話で起しますわ」
伊都子の匂いの残っている寝台で、信吉はぐっすり眠った。そして、眼を覚ますとベルが鳴っていた。受話機を取ると、
「もしもし、先生でいらっしゃいますか」
伊都子の声は電話でのせいか、老けて生真面目な声だった。先生といわれて、信吉は苦笑した。
「――御食事にいらっしゃいません……?」
「ああ、ありがとう」
ロビイへ降りて行くと、伊都子は食堂の入口でしょんぼり立っていた。
向い合って坐ると、信吉は食堂の中を見廻した。そして煙草を喫っている若い男を見つけて、火を借りた。その男はむっとした顔で、信吉をにらみつけながら、火を貸してくれた。信吉の自尊心は傷ついた。マッチがないばかりに、こんな想いをするのか。
もどると、伊都子は、
「今、あなたが火を借りた男、私の許嫁よ」
と、言った。
信吉はあっと驚いた。
「――あの男、伯父さんと一緒に事業しているの。伯父さん、政略的に私をあの男と結婚させたがってるの。私いやだわ、あんな男……」
ところが、伯父はその男に伊都子は既に承諾したと言ったらしい。