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Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme

Aozora Bunko

両国の宿屋は船の着いた河岸からごちゃごちゃとした広小路を通り抜けたところにあって、十一屋とした看板からして堅気風な家だ。まだ昼前のことで、大きな風呂敷包みを背負った男、帳面をぶらさげて行く小僧なぞが、その辺の町中を往ったり来たりしていた。

「皆さんは木曾の方から。まあ、ようこそ。」

と言って迎えてくれる若いかみさんの声を聞きながら、半蔵も寿平次も草鞋の紐を解いた。そこへ荷を卸した佐吉のそばで、二人とも長い道中のあとの棒のようになった足を洗った。

「ようやく、ようやく。」

二階の部屋へ案内されたあとで、半蔵は寿平次と顔を見合わせて言ったが、まだ二人とも脚絆をつけたままだった。

「ここまで来ると、さすがに陽気は違いますなあ。宿屋の女中なぞはまだ袷を着ていますね。」

と寿平次も言って、その足で部屋のなかを歩き回った。

半蔵が江戸へ出たころは、木曾の青年でこの都会に学んでいるという人のうわさも聞かなかった。ただ一人、木曾福島の武居拙蔵、その人は漢学者としての古賀庵に就き、塩谷宕陰、松崎慊堂にも知られ、安井息軒とも交わりがあって、しばらく御茶の水の昌平黌に学んだが、親は老い家は貧しくて、数年前に郷里の方へ帰って行ったといううわさだけが残っていた。