Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
五
母屋の方からは風呂の沸いたことを知らせに来る男があった。七郎左衛門は起ちがけに、その男と寿平次とを見比べながら、
「妻籠の青山さんはもうお忘れになったかもしれない。」
「へい、手前は主人のお供をいたしまして、木曾のお宅へ一晩泊めていただいたものでございますよ。」
その男は手をもみもみ言った。
夕日は松林の間に満ちて来た。海も光った。いずれこの夕焼けでは翌朝も晴れだろう、一同海岸に出て遊ぼう、網でも引かせよう、ゆっくり三浦に足を休めて行ってくれ、そんなことを言って客をもてなそうとする七郎左衛門が言葉のはしにも古里の人の心がこもっていた。まったく、木曾の山村を開拓した青山家の祖先にとっては、ここが古里なのだ。裏山の崖の下の方には、岸へ押し寄せ押し寄せする潮が全世界をめぐる生命の脈搏のように、間をおいては響き砕けていた。半蔵も寿平次もその裏山の上の位置から去りかねて、海を望みながら松林の間に立ちつくした。
五
異国――アメリカをもロシヤをも含めた広い意味でのヨーロッパ――シナでもなく朝鮮でもなくインドでもない異国に対するこの国の人の最初の印象は、決して後世から想像するような好ましいものではなかった。