Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
そこへ行くと、千段巻の柄のついた黒鳥毛の鎗から、永楽通宝の紋じるしまで、はげしい意気込みでやって来た長州人は彦根の人たちといちじるしい対照を見せる。
その日、半蔵は父の名代として、隣家の伊之助や問屋の九郎兵衛と共に、一行を宿はずれの石屋の坂あたりまで見送り、そこから家に引き返して来て、父の部屋をのぞきに行った。病床から半ば身を起こしかけている吉左衛門は山の中へ来る六月の暑さにも疲れがちであった。半蔵は一度倒れたこの父が回復期に向かいつつあるというだけにもやや胸をなでおろして、なるべく頭を悩まさせるようなことは父の耳に入れまいとした。京都の方にある景蔵からは、容易ならぬ彼地の形勢を半蔵のところへ報じて来た。伏見寺田屋の変をも知らせて来た。王政復古と幕府討伐の策を立てた八人の壮士があの伏見の旅館で斃れたことをも知らせて来た。公武間の周旋をもって任ずる千余人の薩摩の精兵が藩主に引率されて来た時は、京都の町々はあだかも戒厳令の下にあったことをも知らせて来た。しかし半蔵は何事も父の耳に入れなかった。夕方に、彼は雪隠へ用を達しに行って、南側の廊下を通った。長州藩主がその日の泊まりと聞く中津川の町の方は早く暮れて、遠い夕日の反射が西の空から恵那山の大きな傾斜に映るのを見た。