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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

そこから立ちのぼる一味清涼の風光。それを弁信はまのあたり見ていると、その紅蓮の池の真中に、二つの人の姿の裸形なのが現われるのを見ました。その一つは、母と覚しい年配の女の姿で、他の一つは、まだ十歳にはなるまいと思われる男の子の姿であります。

母子二人は、その紅蓮の池の中を楽しげに歩いていました。広大なる火焔の池の中を、自家の庭園を歩むもののように歩んでいたが、ある一点へ来ると、二人は急にそこにとどまって、相抱いて地に伏してしまいました。それは無論苦しむために地上に伏したのではなく、春の野に、もえ出したつくしを、母が子のために摘み取ってやるような気分で、地にうっ伏したものと見えるが、不思議なことには、一旦うっぷしてしまって後に、再び頭を上げることがありませんでした。さいぜんはあれほど楽しげに歩いていたものが、ここに来って、どうしても地上から起き上らないのは、なにゆえでしょう。

弁信は、それをも不思議だと思いました。その時に火焔の海が、何十里というもの、おおゆれにゆれ渡ると、伏していた母子の姿が見えなくなりました。

その途端のこと――その火焔の海の上に二つの髑髏が現われました。