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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.713 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

フィナーレ

が、由紀子はよく防ぎ闘って、さいごに書斎との境の扉に追い詰められると、何処から鍵を出したか、その扉を簡単に開けて書斎に飛び込み、追いすがる卓二の鼻の先にピシリと返り扉を締めたのです。

「これが三番目の鍵よ、小杉さん――鍵は二つしかなかったが、夢子とあなたの無恥で放縦な生活をしている部屋の鍵を、もう一つ、由紀子が作らせずに措くでしょうか――蝋で型を取って、鋳掛屋を買収して、手軽に三番目の鍵が手に入ったのです。第三の鍵さえあれば、密室の中で夢子が刺されても何の不思議もない――では小杉さん、左様なら」

「待て、待て」

地団駄踏む小杉卓二を寝室に残して、夢子は静かに梯子段を降りて行きます。

間もなく階下の客間から、素晴らしいピアノの音が響いて来ました。ショパンのソナタ変ロ短調の第三楽章、嗚咽と歔欷にみちたあの美しい「葬送行進曲」です。

フィナーレ

「由紀子夫人を墓場から救ったHというピアニストはだれであったか、その推定は皆様にお任せしましょう。唯――その後由紀子夫人は楽壇から遠ざかりましたが、至極幸福に、新しい家庭を営んでいることだけを申上げて置き度いと思います」