Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.713 Zeichen · 28 Bildschirme
七
重いカーテンの間から、僅かに射し入る午後の陽は、寝室の中を無気味に照らして、調度の物々しさも、妙に神秘的な空気を醸し出します。
七
二人は暫らく睨み合いました。曾て小杉卓二の胸に芽生えた疑問が、この数秒間に恐ろしい勢で生長している様子です。
「あなたが結婚しようとしているこの私が誰なのか、あなたは御存じですか」
寿美子の調子は冷笑的になりました。
「寿美子」
「よく見て下さい、私の身体、この眼、この声に、あなたの先の奥さんで、恥と怨とで死んで行った由紀子と違ったところが少しでもありますか」
「由紀子」
「そうです。――この私はあなたというものに騙されて結婚し、侮辱され、踏みにじられ、汚され、さいなまされて死んだ由紀子なのです」
「嘘だ、嘘だ――由紀子は死んだ、田舎の寺の墓地に葬られたのを、私はこの眼で見届けて居るぞ」
小杉卓二は立ち上りました。ワナワナと顫え乍ら、ともすれば寿美子を払い退けて、部屋の外へ飛出しそうにするのですが、其処にはもう肝腎の鍵が無かったのです。
「それは土葬でした、由紀子の遺言だといってHさんが頑強に主張して、由紀子の両親の眠っている田舎の寺へ葬ったのです」