Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.235 Zeichen · 22 Bildschirme
は、なんと南洋から飛行機で取寄せたという、名果マンゴスチンさえうず高く盛ってあったのです。
デザート・コースに入ると、香気の高い珈琲をすすりながら、
「さて諸君、今夕はわざわざ御招き申上げましたが、なんのおもてなしも無く――と世間並の挨拶でも申上けるところですが、実は海蔵寺三郎、一生を賭けての食道楽の総仕舞に、人力の及ぶかぎり、世界の美味を集めて、日頃親しく御交際を賜っている、五人の方を限ってお招きした次第であります。約一年の準備を要した、苦心の饗宴もこれで終りました。食べてしまえば、世界の珍味も一向他愛もないもので、一椀の雑炊にも及ばないかも知れません。――それは兎も角として、今夕は五人の方々から料理に対する御感想を伺い、私の料理哲学の研究に資したいと思うのであります。お食後の腹ごなしのお積りで、美味とは何ぞやという題目について、私のお隣の江守君から順々にお話を願います」
伯爵海蔵寺三郎は、言い了って席に着くと、代ってその隣席の江守銀二は立ち上りました。三十五六の毛の長い青年で、その頃でも本当に珍しい羽織袴姿、青白い顔、強度の近眼鏡、すべてのものからくる印象は、甚だ怪奇でそして非事務的な美青年でした。