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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.235 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

二

を誇ったり、ビフテキの火加減の通を言ったりするのが、何よりの楽しみで、それを賞味するのを、人生最大の悦楽と心得ていたのです。

この道楽あるが故に、海蔵寺三郎は、時々はお客をしました。料理屋に人を招くなどは以ての外で、海蔵寺三郎伯爵のやり方は、三四人の料理に興味を有する友人を招待し、御自分の手で、或いは御自分監督の下に、お抱えのコックの腕を揮った御馳走を、一つ一つ講釈付で御馳走をするのでした。

中には失礼なものがあって、「あ、海蔵寺伯爵の御馳走もいいが、あの講釈が無ければなお有難いが」などと申す者もあります。が盲目滅法にパクついたのでは、タスカローラの深海魚のスチューも、裏の溝川の鰌の柳川鍋もあまり変りがなく、喰う方も喰わせる方も、まことに張合の無いことであります。

二

その運命的な晩、海蔵寺三郎は五人の親しい友人を招んで、自慢の饗宴を開いて居りました。昭和のはじめ、まだ世界は煙硝臭い風の吹く前の、晩秋のある静かな夜のことです。

海蔵寺三郎はその時三十八歳でした。伯爵らしさも板について、象牙色の東洋の貴族らしい顔には、ほのかに微笑を絶やさないといった、まことに申し分の無い主人振りです。