Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.531 Zeichen · 23 Bildschirme
それが三尺幅もある大卓を二つ並べたのと違って、貸ビルの二、三室に巣くう第三流新聞の悲しさで、卓は引出しの無い狭いもの、それを両方から使って居るのですから向う側に席を占めて居る人とは、ツイ話も弾み、卓の下の足も触り、お互に息も通うので、同僚達がやっかんで、「畜生ッ、くた張って了え」位のことを云ったのも無理のないことでした。
女記者矢留瀬苗子は、その嫉視へ油を注ぐようなことを平気でやらかしたのです。京極三太郎の鉛筆を借りて、ザラ紙の原稿紙に舐めて使うために、鉛筆の先を口紅ですっかり赤くしたり――京極三太郎は、その先の赤くなったチビ鉛筆を、どんなに大事に保存したことか――京極三太郎の九谷焼の湯呑を借りて、「宜いわ、私肺病でも何でも無いんだから」などと、編集局備付の埃臭い番茶を呑んだり、そして時々は卓の下に足を伸ばして、気に入らないことがあると、京極三太郎のドタ靴を、可愛らしいハイヒールで蹴飛ばす真似なんかするのでした。
矢留瀬苗子は時々は京極三太郎と椅子を並べて掛けました。それは大抵近頃見た映画の批評か、文学の話か、仕事とは関係の無い話に興ずる時に限られました。