Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
家には腕っぷしの強い書生共がゴロゴロしているんだし、門長屋にはお巡りさんががんばっている。外出さえしない様にしていれば、ちっとも恐れることはないんだよ」
父桜井氏が、政治家らしく磊落に笑いながら、娘を力づけた。
品子はそれを聞くと、益々昨夜の事が話し出せなくなってしまった。
警視庁の蓑浦捜査係長が父と親しい間柄で、例の蠍の死骸の出来事を通知すると、早速出向いて呉れて、色々取調べもし、警戒の手配も講じてくれたのは事実であった。普通の犯罪なれば、これで十分安心出来たに違いない。だが、魔法使いの様な妖虫殺人鬼が、こんなことに恐れを為して、手を束ねているであろうか。
その午後、相川守青年が訪ねて来た。そして、彼も亦品子の蒼ざめた顔色に驚かされ、何かあったのではないかとくどく訊ねた。悪魔の犠牲となった珠子の兄だけに、妖虫の恐ろしさを知り尽している彼だけに、その質問は急所に触れていた。
品子はとうとう、それを打明けないではいられなかった。
「多分、あたし夢を見たんですわ。でも、あんまり馬鹿馬鹿しい事ですもの」
そう照れ隠しの前置きをして、彼女は前章の出来事を詳しく物語った。