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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme

Aozora Bunko

おびえた少女は、一刹那それを血痕と思い誤ったが、気をおちつけてよく見ると、血ではなかったけれど、少女にとっては血よりももっと恐ろしい、ゾッとする様な一物が、そこにじっとしていた。

毒々しく真赤な色の大蜘蛛だ。イヤイヤ、こんな巨大な紅蜘蛛なんてあるものでない。少女は知らなかったけれど、それは、内地では見ることの出来ない、蠍という毒虫の死骸であった。あとで調べて見ると、何の意味か、その蠍のひからびた死骸には、一面に真紅の油絵具が塗りつけてあった。赤い蠍! それは一体何を象徴していたのであるか。

春川月子失踪事件は、忽ち家族近親、撮影所、警察、新聞記者と拡がって行った。それが新聞紙を通じて、世間一般に知れ渡ったことは云うまでもない。相川青年もその新聞記事の熱心な読者の一人であったのだ。

この事件には、不思議なことに「赤い蠍」という奇怪至極な遺留品を除いては、手掛りというものが全くなかった。自発的な家出であるか、何者かに誘拐された犯罪事件であるかさえハッキリしなかった。

恋愛問題からの家出ではないか、スター争奪戦の目標となってどこかに隠されているのではないか、それとも、撮影所の御念の入った宣伝策ではないのか、などと色々な臆測が行われたが、結局いずれの説にも、これという論拠も確証もなかった。